毎朝「処理済みです」という報告が届く。ところが実際には、3日間、何も片付いていなかったとしたら、あなたは報告のどこを疑えばよいのだろうか。
実はこれは、私たちの会社でAIに起きたことである。社内の常時稼働のPCで、毎朝ディスクを掃除する係を置いていた。この係が、3日続けて1バイトも消さないまま、毎朝「削除済み」と通知していた。
結論を先に言う。
- 「実行しました」ではなく、「どれだけ効いたか」を報告させる。
- 安全装置が毎回作動しているなら、その仕組みは止まっているのと同じである。
- 「やった量」の数字は、戻ってくるものを数えていないかを疑う。
通知は「削除済み」、実際は0GB
2026年9月3日から5日まで、清掃の記録は毎日「回収0GB」だった(自社計測)。それなのに通知は「キャッシュは自動削除済み」と書いていた。
原因は、容量ではなく設計である。「そのアプリが起動中なら消さない」という安全条件を付けていたが、このPCではアプリが24時間起動している。条件は毎朝すべての対象で成立し、回収できる量の上限は、設計の時点でゼロだった。記録には「見送った」としか残らず、なぜ0なのかは読み取れなかった。
直したら、回収の約7割は同じファイルだった
条件を緩めず、起動しっぱなしのアプリのキャッシュを、対象から外して直した。直した後の6日間(9/6〜9/11)の回収量は、合計8.181GBだった。ところが、そのうち5.861GBは、同じ更新用ファイル1本である。消しても同じ大きさのものが取り直され、また消す。6日間で4回だった(自社計測)。
「0GBから8.18GBへ」と聞けば、直ったように見える。しかし中身の約7割は消し直しで、空きを恒久的に増やしてはいない。取り直される理由は、未調査である。
たとえばWEB広告の分析で、「レポート送付済み」の通知だけが届き、中身は前回と同じ、ということも起こり得る。
本当に空いたのは、人が1回動いた30分
実際に空きが増えたのは、管理者権限が要る、取り消せない操作を人が実行した30分だった。22.19GBから38.19GBへ、30分で16.0GB(自社計測)。掃除係の6日間の回収の約2倍である。無人の工程の役目は、その一手を代わりに打つことではなく、測って、順番を守って、刻限を切って上げることだった。
まだ終わっていない
9月8日の38.19GBは、9月11日には25.91GBまで戻った。何が減らしたのかは未特定である。当初の「空き50GB」という基準にも、一度も届いていない。
自社で確かめる3つの問い
- 自動化の報告は、「実行した」だけでなく「どれだけ効いたか」まで書かれているか。
- 安全装置の条件は、現場で何割くらい成立するか、見たことがあるか。
- 処理件数や回収量の数字に、戻ってくるものが混ざっていないか。
2つ以上「いいえ」なら、自動化の報告の読み方を見直す余地があるかもしれない。あくまで目安であり実証ではないが、AI診断で現状を確かめられる。


