部下に日報を書かせている。その日報の「明日やること」欄を、誰が読んで、次の仕事に結びつけているだろうか。
実はこれは、私たちの会社のAIに起きたことである。AIは毎回、振り返りに「次にやること」を書いていた。ところが、それを読む工程が誰にも作られていなかった。
結論を先に言うと、持ち帰れることは3つある。 - 書かせる仕組みを作るときは、読む仕組みも同時に作る。 - 手順書への注意書きの追加は、読まれなかった場所に1行足すだけになりやすい。 - 記録には、何の話か特定できる項目を最初から持たせる。
読まれていない次の一手が59件
9月3日に数えると、その後どこにも現れていない次の一手が59件あった(自社計測)。中身は、捨ててよいものではなかった。案件の前提が変わったという重要な報告も、そのまま止まっていた。
怖いのは、AIが間違えることではない。正しい指摘をしたのに、誰も受け取らないことである。
「書いておけば、誰かが見る」という前提
人が働く職場では、誰かが気になって見に行くという偶然が、最後の受け皿になっていた。任せる範囲が広がると、その偶然が消える、と私たちは考えている。
さらに、案件を表す項目が無かったため、「資料の更新が古い」という警告4件は、どの案件の話か分からないまま4日間放置された。
直したのは、日時が来たら呼ばれる置き場
注意書きを足す案は捨てた。読まれなかった場所に足せば、60件目が増えるだけだからである。代わりに、日時が来ると名指しで呼び出される置き場を1つ作った。
9月10日時点で、次の一手は累計230件、未読は1件になった(自社計測)。たとえばSNSのリール制作で、納品日の3週間後に保守の確認をする約束が資料にあったのに、呼ぶ仕組みが無かった。それも、予約を2本立てて塞いだ。
ただし「読まれた」は「実行された」ではない
230件のうち、本文が実際に現れたと機械で確認できたのは90件。残る139件は、「読んだ」という印が付いているだけである。これは申告であり、実体の証拠ではない。この部分は、まだ塞げていない。
自社で確かめる3つの問い
- 部下やAIに書かせた記録を、誰が、いつ読むか決まっているか。
- 記録は、どの案件の話か特定できる形で残っているか。
- 「読んだ」という印を、実際の行動で確かめているか。
2つ以上「いいえ」なら、任せたあとの受け口が無いかもしれない。目安として、AI診断で確かめてみてほしい。


