承認の手間を減らせば、仕事は速くなるだろうか。会議のあとにやることを一覧にして、ボタン1回で承認できるようにした職場を想像してほしい。
実はこれは、私たちの会社でAIに任せた議事録のタスク化で試したことである。結論を先に言うと、押す回数は減ったが、待ち時間は減らなかった。
持ち帰れることは3つある。 - 承認の手間を減らしても、承認までの時間は、承認者が画面を開く時間帯で決まる。 - 期限の近いものは、束を開く前に分かる場所に出す。 - 数えるべきは、押した回数ではなく、承認までの待ち時間である。
17件を7秒で承認できた
最初は1件ずつ押す作りだったが、「議事録1本に1回」へ作り直した。9月26日の夜は、7秒間に3つの束、合わせて17件が承認された(実測)。以前なら17回押す量である。
それでも、承認までの待ち時間は最長38.4時間だった
5日間で抜き出したタスクは188件、承認されたのは87件である。届いてから承認までの時間は、中央値が3.3時間、平均が9.9時間、最長が38.4時間だった(自社計測)。
承認された27束のうち15束は、17時台と22時台に集中していた。承認は、束が届いたときではなく、経営者が画面を開ける時間帯にまとめて押されている。朝に届いたものは、早くても夕方まで待つことになる。
期限が当日のタスクが、承認の時点で期限を越えていた
最長だった束は、8件のうち4件が、抜き出した当日が期限だった。承認されたのは翌日の夜で、その時点で4件が期限を1日越えていた(実測)。束の見た目は他と変わらないので、1件ずつ読むまで気づけなかった。
つまり、日程調整のように「今日まで」のものが混ざる依頼を、一覧の中に埋めて承認待ちにすると、承認者が知らないうちに期限が過ぎる。
期限を越えたことの実害は、測れていない。
自社で確かめる3つの問い
- 承認が必要な仕事は、届いてから承認されるまで何時間かかっているか。
- 期限が当日のものを、承認者が開く前に見分けられるか。
- 承認者が不在の時間帯に届いた依頼は、どう扱うと決めているか。
2つ以上「いいえ」なら、任せたあとの流れに詰まりがあるかもしれない。目安として、AI診断で確かめてみてほしい。


