部下から毎週「完了しました」と報告が届く。では、何をどれだけやったのかを、後から数えられるだろうか。
実はこれは、私たちの会社でAIに起きたことである。AIの定期作業2本を点検したところ、実行履歴は合計35回すべて「成功」だった。ところが、何をしたかを後から数えられる記録は、1行もなかった(自社計測)。
結論を先に言う。 - 「成功」は、多くの場合「異常終了しなかった」という意味でしかない。 - 記録を足す修正が、本当に記録されるかを、実際に動かして確かめる。 - 記録がないとき、手近な別の数字で穴を埋めない。
35回の成功と、0行
2本とも、点検で「完了の定義」「自己確認の手順」「記録の置き場」などが欠けていた。成功と表示されても、何件処理したかを残す先がなかったのである。
直す途中でも、2週続けて記録の手順に穴があった。必須項目が抜けていて、そのまま入れれば毎回エラーで落ちる形。途中で終わった回に記録が残らない書き方。どちらも、反論役のAIの指摘で止められた。
もう1つ、私たち自身が間違えかけた。実行履歴の時刻の差から、成功の半分以上が10秒未満で、何もしていないように見えた。念のため、いちばん短い2回を開くと、更新も投稿も下書きもすべて済んでいた。残りの回は未確認である。
人の職場なら、こう読み替えられる
たとえば営業の商談のカルテ化。「完了」の報告だけがあり、何を書いたかの記録がなければ、確認のしようがない。そこで報告の時刻や通知の件数といった、数えやすい別の数字で穴を埋めたくなる。
つまり、手近な数字は、それらしい形をしているだけで、仕事の中身を表していないことがある。
登録されている定期作業11本のうち、共通の記録を残す手順があるのは6本。残りは点検の途中である。
この点検では、直した指示書が次の本番の回で実際に記録を1行増やすまで、直ったと言わないことにしている。直す案には、各週とも反論役のAIから訂正が2つずつ入った。
自社で確かめる3つの問い
- 任せた仕事の「完了」を、1回ごとに数えられますか。
- 記録を足したあと、実際に増えたかを確かめましたか。
- 記録がないとき、別の数字で代用していませんか。
AI診断で、2つ以上「いいえ」なら、任せた仕事の見える化を見直す余地があるかもしれない。あくまで目安であり、実証された基準ではない。


