部下から「調べた結果、この件は対応不要でした」と報告が来たとき、あなたはそれを仕事として評価しているだろうか。
実はこれは、私たちの会社のAIの決裁を数えて分かったことである。9月2日からの8日間で、決裁は183件。そのうち36件は、決めたあと誰も手を動かしていない(自社計測、19.7%)。
結論を先に言うと、持ち帰れることは3つある。 - 「やらない」という判断は、成果として記録に残す。 - 記録に残さないと、同じ調査を何度も繰り返す。 - 承認の枠は、存在しない問題の検討に食われやすい。
36件の中身は、「存在しない問題を止めた」記録だった
内訳は、案を潰した却下が6件、「調べた結果、やることは無いと確定させた」ものが30件だった。30件のうち、自分が鳴らした警報が誤報だったと確定させたものが7件、調べたらその仕事自体が存在しなかったものが5件である。
存在しなかった仕事は、どれも、一次情報を読む前に、要約や申告を根拠に動いたことが原因だった。たとえば経費の仕訳で、申告と実物が食い違ったまま作業を進めたような状態である。
「やらない」の比率は上がった。ただし良い兆候とは断定しない
前半4日は105件中13件(12.4%)、後半4日は78件中23件(29.5%)だった。ただし、最終日は途中集計であること、母数が小さいこと、検査を自分で作り込んだために自分のバグを見つける回数が増えただけかもしれないことから、断定はしない。
数えないと、2つの損が出る
ひとつは、同じ調査を何度もやることである。「やらない」と決めた記録が残っていないと、同じ誤報が来たとき、また最初から調べ直す。
もうひとつは、承認の枠が食われることである。AIは放っておくと仕事を作り続ける。そこに存在しない課題が混ざると、経営者のいちばん高い時間が、無い問題の検討に使われる。実際に、判断待ちに3日居座った「重大」1件の正体は、障害ではなく、置き場所の区分ミスだった。
自社で確かめる3つの問い
- 「対応不要」と判断した記録を、残しているか。
- 承認を待つ案件の中に、そもそも存在しない課題が混ざっていないか。
- 動いていること自体を、成果と数えていないか。
2つ以上「いいえ」なら、任せたあとの判断の整理が足りないかもしれない。目安として、AI診断で確かめてみてほしい。


